放射線治療に関するQ&A

放射線治療に関するQ&Aをまとめました。

Q1:がんの再発について教えてください。

 がんの再発も転移と同様にしばしば耳にする言葉ですが,手術を行ってがん細胞を取り除いたように見えて実は目に見えない微少ながんが残り、そこからがん細胞が再び増殖することがあります。また、転移により様々な臓器に付着したがん細胞は、そこでまた増殖し、器官を侵しはじめます。これが「再発」とよばれる現象です。
 がんが発見された時点では、目に見えない微少転移も含めると,、割の人に転移があるとされています。ただ、それらが全て目に見えるまで大きくなりとは限りません。なぜなら微少ながんは上手く生存することができなかったり免疫細胞によってほとんどが駆逐されているからです。
 通常、がんが発見されるのは1cm程度に大きくなった場合ですが、この早期がんと呼ばれる状態であっても転移が始まっている可能性はあります。
 手術後に放射線照射や抗がん剤投与がしばしば行われるのも、取り残された可能性のある微少ながん細胞を殺傷するためです。
 がんは治療後2~3年で再発することが多く、遅くともほとんどの場合5年以内に再発します。そこで治療後5年後の生存ががん治療の一つの指針となっています。
 つまり、治療後5年経過しても再発がなければそれ以降再発する可能性は低く、がんが治癒したと見なされるのです。

Q2:放射線治療は再発した場合、また受けられますか?

 放射線治療では、がん細胞が大きなダメージを受けますが、その周辺の正常細胞にも何らかのダメージが生じます。臓器ごとのある決められた量以上の放射線を当てると、正常細胞も弱って放射線による害が出てしまいます。正常細胞が受けた放射線の影響は何年経っても多少残りますので、同じ場所に再度、放射線治療をする事は出来ないことが多いのです。ただし、がんのタイプによっては、初回の治療で照射した放射線の量が少なく、もう一度安全に治療できる場合もあります。
 放射線治療は手術と同じく体の一部分への局所的な治療ですので、放射線がかかっていない部分への影響はありません。従って、照射する場所が違えば、臓器の機能が許容される限り何度目であろうと問題なく安全に治療することができます。

Q3:放射線治療の期間中、連続して受けられなかったりした場合はどうなりますか?

 途中で休むと放射線の治療効果が無くなる訳ではありません。がん細胞・正常細胞とも、照射休止中に放射線によるダメージから回復しますが、長く休んでいると、がん細胞が放射線によるダメージから回復してしまい、効果がやや減弱するという意味です。がんの種類によっても差があり、頭頸部腫瘍・食道がん・子宮頸がんなどを放射線単独で治療する場合、照射を休んで治療期間が長くなると、再発率が上昇したり、生存率が悪くなることが知られています。
 一方、抗がん剤を同時に併用される場合は、照射休止の影響が少ないことも知られています。
 いずれにしても一旦開始した放射線治療は、予定通りにできるだけ休まずに続けることが大切です。

Q4:治療中の生活について教えてください。(治療している箇所の表面の皮膚は入浴時に洗ってもいいのか? 化粧・髭剃りはいいのか?など)

 まず入浴についてですが、放射線治療中の入浴は皮膚等の清潔を保つ効果、気分的なリラックス効果等が得られ、原則として勧められます。注意すべき点としては、放射線治療中の様々な合併症は皮膚炎など炎症反応が中心ですから、あまり熱いお風呂や刺激の強い温泉、あるいはサウナなどでの入浴はその反応を助長する恐れがあり、お勧めできません。ぬるめのお風呂で短い時間で切り上げることが勧められます。また放射線皮膚炎は背中に出やすいので、背中を温める岩盤浴はお勧めできません。通常放射線治療が終わり、数週間で照射部位の皮膚炎などは治まりますので、その後は温泉やサウナでの入浴は問題ありません。また、皮膚に印をつけて照射部位の目印としている場合には、印が消えるともう一度治療計画のやり直しが必要となる場合があります。通常放射線治療は週末には行ないませんから、その間に印が消える可能性の方が高いため、週末の入浴は特に注意が必要です。

 次に化粧・髭剃りなどですが、照射部位の皮膚にも放射線が当たるため、徐々に日焼けのときのように赤くなったり、乾燥して痒くなったり、ひどい場合は傷口のようにじくじくしたり、水ぶくれを起こしたりします。このような状態のときの皮膚は、刺激に対して弱くなっていますので、刺激は避けなければなりません。すなわち皮膚をこすったり、掻いたり、きつく締め付けるような衣類や肌触りの悪い衣類を着たり、直射日光に当てたり、石鹸や化粧品をつけたり、絆創膏をはったりすることは避けるほうが望ましいです。ひげ剃りやムダ毛の処理も同様で、できることなら全く行わないのが望ましいのですが、実際にはそうはいきませんので、行うときには、石鹸、ローション、クリーム等を用いずに、通常のカミソリではなく電気シェーバー(刺激の少ないもの)を使用して、必要最低限に行うようにしてください。
 なお、このような皮膚の変化は、放射線治療終了後1~2ヵ月でほぼ元に戻りますので、その後は以前と同様に、石鹸や化粧品を用いたり、ひげ剃りをしても結構です。

Q5:保険が適応する場合としない場合の違いはありますか?

 平成20年度のIMRT保険導入時には、「原発性の頭頸部腫瘍、前立腺腫瘍、中枢神経腫瘍の患者」に適応疾患は限られておりましたが、 平成22年度の改定にてIMRTの保険適応は「限局性の固形悪性腫瘍の患者」とすべての種類のがんが対象となりました。
 当院では、脳腫瘍・頭頸部腫瘍・前立腺などをはじめとして、全身の病気に対して個々の患者さまの状態に応じてIMRTの適応を考えていきます。