今月のこの一枚(2005.12.01)

門脈腫瘍栓を伴う肝細胞癌

肝腫大の精査として紹介された患者様です。CTでは肝に萎縮、辺縁の凹凸、傍臍静脈の強い拡張を認めます。腹水も認め、門脈圧亢進を伴う進行した肝硬変の所見です。また、造影早期相で肝S5に多血性腫瘍があり(矢印)、これと連続するように門脈内にも同様の濃染を示す腫瘤性病変があります(矢頭)。門脈腫瘍栓を伴う肝細胞癌です。腎細胞癌とともに多血性かつ細胞成分に富む腫瘍である肝細胞癌は、腫瘍栓を来たしやすいことでも共通点があります。肝細胞癌の場合は肝静脈よりも門脈の腫瘍栓の方が高頻度です。CTで肝細胞癌を認めた場合には腫瘍栓の評価が必要であり、その有無、範囲は肝動脈塞栓術などの治療法の選択に大きく影響します。腫瘍栓がある場合、門脈血流の低下に対する肝動脈の代償性支配が起こる場合があり、その場合は非腫瘍部も造影早期相で濃染するため腫瘍の範囲の判定に注意が必要です。