MRI で PET のような画像が得られる

MR全身拡散強調画像について

・・・PETとは?
PETとは体内に投与された核種(18F、11C、13N、15O)からの陽電子放出を断層写真として補えるものです。最も広く用いられているのは18Fで標識したFDG(fluorodeoxyglucose)であり、この静注により全身の糖代謝を画像化します。癌病巣は正常組織と比べ糖代謝が活発なので高集積として描出されるというわけです。
2002年に本邦で保険適用を受けており、癌の早期発見あるいは転移性病変の有無の評価などに利用されています。また、CT, MR,
USなどの形態画像で描出されない、あるいは描出されるが腫瘍性かそうでないかの判断が難しい場合に有用と考えられています。 しかし、用いる核種の半減期が非常に短いため、診療施設内あるいはその近傍に医療用サイクルトロンが必要となります。このため、現在では、限られた施設でしかPET検査は行うことが出来ません。

・・・MRIで被曝なし、全身を一度に

近年CT・MR装置は広範に普及し、またその技術的進歩は目覚しいものがあります。昨年は、MRを用いてPET様画像を得る方法が報告されています。これは「拡散強調画像」という分子拡散を画像化する手法で全身を撮像するものです。
拡散強調画像は、超急性期の脳梗塞の診断などで中枢神経系では日常化していますが、胸腹部では体動・肺や腸管のガスなどの問題があり、中枢神経系に対するほどは普及していませんでした。しかし、技術的な工夫を重ね実用化されつつあります。その上、MRは普及台数・費用・被曝の点でPETより有利であり、診断における有用性がより確立されれば、医療経済を含めて大きな進歩となるでしょう。

・・・近い将来

当センターでは、悪性リンパ腫・乳癌症例などに全身の拡散強調画像を施行し有用性を検討しています。

(文責:画像センター放射線科専門医 田村 亮)