今月のこの一枚

 

深部静脈血栓症


深部静脈血栓症はエコノミークラス症候群などで最近特に問題となっています。症状が非特異的あるいは乏しいこともあり、画像診断が重要な位置を占めています。従来は骨盤あるいは下肢の深部静脈血栓の診断には従来法の静脈造影が、肺塞栓の診断には肺血流シンチあるいは肺動脈造影が頻用されていました。深部静脈血栓症の診断におけるgold standardは現在でも従来法の静脈造影とされています。しかし、近年ではより簡便かつ侵襲の少ないDoppler US, CT venographyの高い診断能が報告されています。中でもCTにて肺動脈造影施行後、静脈相で下肢の撮像を追加するcombined CT venography and pulmonary angiography(CTVPA)は簡便かつ優れた診断能から、他の画像検査の省略が可能な"one-stop shopping"検査として提唱されています。 写真は左総腸骨静脈から膝窩静脈までの深部静脈血栓症を来たした55才男性の患者様です。CT pulmonary angiographyでは肺塞栓を認めませんが、CT venographyでは浅大腿静脈の血栓が明瞭です(矢印)。浮遊血栓もあり肺塞栓の予防のためIVC filterを留置しました(CT venography冠状断像矢印)。 このようにCTPVAでは血栓の直接的な描出、血管以外の病変の描出が可能、低侵襲性などが特徴です。USでは描出困難な骨盤内の評価も可能です。肺塞栓に対して直ちに血栓除去あるいは溶解術を施行しなければならない緊急時を除いては、USの次に行われるべき検査法と思われます。



CT pulmonary angiography

CT venography(→は浅大腿静脈の血栓)

CT venography冠状断像(→はIVC filterを留置)



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