消化器のがんについて

1. 胃がんについて

 

胃の構造

胃の壁は内側から、粘膜層、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層となっており外側は漿膜という薄い壁でできています。

胃がんの発生と進行

胃がんは、粘膜内から発生します。ひとつのがん細胞が年単位の時間がかかって5mm程度の大きさになるころから発見可能になります。胃の壁を外に向かって粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜へ発育します。それに伴って転移しやすくなってきます。

胃がんの診断

胃がんは胃の内側に突出するものや、平坦なもの、潰瘍をつくるものがあります。胃の透視や内視鏡検査で診断します。特に内視鏡による診断は直接胃の表面を観察し、わずかな異常な箇所でも組織を採取して顕微鏡で観察する生検が可能で、早期胃がんの診断には欠かせません。しかし、中には粘膜の下を這うように胃全体に広がるような特殊ながん(スキルス胃がん)などがあり発見が難しい場合もあります。

近年、超音波内視鏡によってがんがどの深さまで進んでいるかかなり正確に診断できる うになり、治療を選択するうえで大変役立っています。

胃がんの進行度

粘膜から発生した胃がんの外方向への進展は深達度といいます。この深達度や胃の周辺の臓器への直接浸潤(T1 ~ T4)と周辺のリンパ節の転移(N1 ~ N3)、また血流を介しての肝臓や肺など遠隔転移(M0、M1)によりがんの進行度があらわされます。(次ページ表 . 胃がんの臨床病期)

粘膜と粘膜下層に留まった場合に早期がんといい、それより深く浸潤したものを進行がんといいます。ただし早期がんでもリンパ節に転移する場合があり、治療法を選択するうえで忘れてならない重要な点です。

胃ガンの臨床病期

胃がんの治療

胃がんの治療は、病期にもとづいて治療法が決まります。次に示すものは、胃がんの進行度に準じての治療方法の関係を示す表です。(日本胃癌学会の『胃がん治療ガイドライン』)

①胃切除術

周囲のリンパ節を含めて(リンパ節郭清)最も確実に切除する標準治療法です。切除法は、病変の位置や進行度によって決めます。

②内視鏡的粘膜切除(EMR)と内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)

EMR は平坦な早期がんに対して内視鏡で粘膜下層へ生理食塩水をを注入して膨らませてがんを浮き上がらせてスネアというワイヤーをかけます。これに高周波電流を流して焼切ります。EMR では1cm 程度の小さいものであれば切除可能ですが、それより大きなものは取り残しもあり不可能です。

ESD は EMR と同様に病変部に生理食塩水を注入して膨らませますが、特殊な電気メスで広い範囲を剥ぎ取るように切除するものです。

これらの内視鏡治療では患者さんの負担は小さく入院期間も短くなります。しかし、適応は粘膜層に限局した直径3cm 程度の隆起性の早期がんで内視鏡操作が可能な場所に限定されます。

最近の内視鏡検診の技術は向上しており、早期がんの発見は多くなっています。早期がんでは一度は検討してみる価値はあります。もしも顕微鏡レベルでもわからないような取り残しがあっても、厳重に観察することで確認されてから①の手術治療や③の腹腔鏡切除を行うことができます。

③腹腔鏡補助下胃切除術

腹腔鏡を補助的に用いて、開腹手術より小さい傷で開腹手術とほぼ同じような胃切除術を行うことができるようになりました。胃に近いところのリンパ節の切除も行うことができます。これは特殊な装置と技術を必要としますが、傷が小さいので術後の経過は開腹手術よりは軽くなります。しかしながら進行した胃がんでは、開腹手術により確実に広い範囲のリンパ節を含めて切除することが大切です。

2. 大腸ガンについて

症状/診断/進行度/治療

3.肝臓ガンについて

肝細胞がん/肝細胞がんの診断/肝細胞がんの進行度/肝細胞がんの治療

4.胆道ガン・膵臓ガンについて

肝臓・胆道・膵臓の構造/黄疸(おうだん)/症状/診断/治療法