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リンパ浮腫に関するトピックス

 皆さん、『リンパ浮腫』はご存知でしょうか。多くは、がんの手術でリンパ節を切除した後に生じる腕や足のむくみの症状です。全ての方が発症するわけではありませんが、一度発症すると完治は難しいとされ、長期的なセルフケア主体の保存的な治療が行われます。また治療に使う弾性着衣や包帯は療養費申請が可能ですが、自己負担金が必要になります。そのため、手術後早期よりリンパ浮腫の発症を予防することが非常に重要になります。その予防法は、①患側に感染症を起こさない、②体重を増やさない、③肩関節を大きく動かし、定期的に全身の運動療法をしましょうと報告されています。(リンパ浮腫診療ガイドラインより)

 乳がんに関して見てみると、どのような特徴の方にリンパ浮腫が発症しやすいか。これまでの研究でリンパ浮腫発症に関連する要因は、脇のリンパ節の広い切除や放射線療法の施行、タキサン系抗がん剤の使用、高いBMIなどが報告されてきました。しかし、それらの要因同士の組み合わせが、リンパ浮腫の発症に与える影響は検証されていません。今回発表した研究論文では、リンパ浮腫発症に寄与する要因の関連性を報告しましたので、ご紹介したいと思います。

 乳がんの女性129名を対象とし、リンパ浮腫発症に関連する要因(年齢、術側、乳房切除範囲、腋窩(脇)切除範囲、BMI、補助療法(術前化学療法、術後化学療法、ホルモン療法、放射線療法施行の有無)の関連性を分析しました。その結果、129名中、リンパ浮腫発症は11名(発症率8.5%)でした。また、術後化学療法を行い、リンパ節の切除範囲がLevel3(鎖骨の下側まで広く切除すること)、BMIが22.96以上に該当する方のリンパ浮腫発症率は44.4%と非常に高い数値でした。この3因子の組み合わせがリンパ浮腫発症に強く関連することが示されました。(The effect of combined risk factors on breast cancer-related lymphedema: a study using decision trees Breast Cancer. 2023 Jul;30(4):685-688.より抜粋)

 皆さんもリンパ浮腫の発症を予防し、より元気な生活を送るためにも、ぜひ参考にして頂けると嬉しいです。

リハビリテーション科 理学療法士 神保和美

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